2015年12月26日土曜日

[古森義久]【日本糾弾の米・学者を真っ向から否定】~慰安婦問題で若手学者が~  

アメリカのコネチカット大学のアレクシス・ダデン教授といえば、慰安婦問題で長年、日本を糾弾してきた歴史学者である。ダデン女史はアメリカ側教科書の慰安婦問題の誤記に対する日本側の学者たちの抗議をも「不当な検閲」として非難してきた。ところが同じアメリカ人歴史学者の若手がダデン教授を「日本側をただののしっているだけだ」と厳しく批判した。
日本の英字新聞ジャパン・タイムズ12月18日付は「アメリカの教科書の擁護者は狭量だ」と題するウィスコンシン大学博士課程の日本歴史学者ジェーソン・モーガン氏からの投稿を掲載した。まだ30代の若手の同氏は慰安婦問題での日本糾弾の急先鋒ダデン氏がジャパン・タイムズに寄せたコメントを批判していた。
同紙の12月11日の記事は「50人の日本の歴史学者が慰安婦問題でマグロウヒル社とアメリカ側学者を攻撃する」という見出しで、日本の山下英次大阪市立大学名誉教授や小堀桂一郎東大名誉教授ら合計50人の学者が同社発行の教科書の慰安婦問題記述の誤記を「明白な間違い」と抗議したことを報じていた。
この教科書には「慰安婦は日本軍が強制連行した」とか「20万人の性的奴隷」「慰安婦は天皇の日本軍への贈り物」「日本軍は終戦直後、慰安婦多数を殺した」という記述があった。いずれも事実とは反する記述だった。日本の外務省がまずマグロウヒル社に抗議すると、ダデン教授らはアメリカ人学者に呼びかけ、20人の連名で外務省の抗議を「日本政府によるアメリカの教科書の不当な検閲」とか「言論弾圧」と逆に非難する声明を発表した。
日本側の山下名誉教授らは50人でこのダデン教授らの声明に抗議し、その根拠の明示を求めるとともに、マグロウヒル社の教科書の記述を改めて事実ではないとして批判した。
ジャパン・タイムズはこの日本側の動きを12月11日付で記事にしたのだった。その記事はダデン教授が日本側の批判を「50人のギャングの主張」としてその内容には触れずに否定し、慰安婦を現代のナイジェリアのイスラム系テロ組織「ボコ・ハラム」の女性略奪に重ねて現在の日本側を糾弾するコメントを載せた。
モーガン氏はこのダデン教授のコメントを「日本側の実績のある学者たちへのののしりであり、アマチュアの政治活動」だと非難して、学者としての良心に欠けると主張した。
日本の慰安婦問題をめぐってはアメリカ側の歴史学者はダデン教授をはじめ大多数が「日本軍が組織的に20万の女性を強制連行した」という朝日新聞と同様の主張を続けていた。
だが最近ではこの主張にも歩調の乱れが出て、モーガン氏のように多数派の従来の見解を正面から否定する若手学者も出てきたわけだ。


[古森義久]【日本糾弾の米・学者を真っ向から否定】~慰安婦問題で若手学者が~   |


塩野七生氏が語る世界と日本

 『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』(新潮社)を書き上げた作家、塩野七生さんへのインタビュー2回目は、日本の安全保障などについて聞いた。


 ――塩野作品には安全保障にかかわる記述がしばしば登場します。安全保障とは結局何でしょうか。日本で今年成立した安保法制をどうご覧になっていますか。
 「デロス同盟(ペルシャ戦役後のギリシャ都市国家同盟)というのは、多国間で一緒になって安全保障をしましょうという目的でできたものです。一方、ペルシャ帝国にはそんな同盟は一切ない。その後のアレキサンダーもローマ帝国もそんなことは考えなかった。つまり『一緒になって力を合わせて安全保障をしましょう』という同盟の考え方は超大国からは生まれないのですね。日本も中小の国々のひとつだから、同盟による安全保障は当たり前な話であって、ヨーロッパでは安倍晋三首相の安保法制は全然問題になっていない。問題にならないどころか、『当然』という感じで受け止められています。中国だってほとんど何も言っていないんじゃないですか」
 「中国は『一緒になって安全保障しよう』なんて言わない。そういう中国に対抗するには、中小国が集まって、アメリカが後ろ盾になる安全保障を考えればいい。中国が脅威的存在にならなければ、これほどの必要性はなかった。かつてソ連があったときと似た構図です。つまり同盟は強大な敵があるからなのです。今の中国はまだ超大国ではないが、超大国になりたいと思っている国であることは確かです」
■安定、安全の実現は統治者の務め
 ――政権に返り咲いて約3年の安倍首相の政権運営をどう見ていますか。
 「前回(2013年秋)の日経インタビューで『2度も首相としてチャンスをもらい、それで何もしなかったら政治家でないだけではなく、男でもない』と言いました。そうしたら安倍さんは発奮されて『チクショー、絶対にやってやる』となったのではないですか。安倍さんに批判的な人は『塩野さん、なぜ安倍首相を応援するのですか。彼には健康上の理由があるし』と言う。でも、健康上の理由なんぞは奥さんとお母さんが心配すればいい話です。我々国民が心配することではない。むしろ安倍さんにはやりたいだけやらせたらいいと思っています」
 「それからギリシャの政治家、ペリクレスにしても、その統治は30年も続いた。安定ということは、すごく大きいです。人間というのは決してバカではありません。安定、安全であれば、何とか適度に自分たちでやれる。しかし、安全だけは統治者が実現しなければならない。だからルネサンスの時代のフィレンツェでも、メディチ家が僭主(せんしゅ)になって安定を築き、そこにルネサンス文明というか、フィレンツェ文明が花開いた。ベネチア共和国というのは経団連が統治したような国だと思いますが、その経団連が中小企業の保護をしたのです。だから社会が安定した。そのため商売はうまくいき、文化もうまくいった。安定は本当に大切です。だからパクス・ロマーナは大切だったのです。安定というよりは、パクスと言いましょう。平和です」
続きは、
「安倍首相、やりたいだけやらせては」  :日本経済新聞