2014年1月8日水曜日

中国の「対米自信過剰」は危険だ


 近年、中国の台頭と対比して、米国の国力低下と外交低迷を米国の衰退傾向と決めつけるような見解が、米国、日本、そして特に中国で頻繁に論じられるようになった。中国の国内総生産(GDP)は2020年前後には米国のそれを追い抜き世界第1位になるだろうとか、これからは米中2極、あるいはポストアメリカの世界になるだろうといった具合である。
 ≪「米国の国力低下」は一時的≫
 確かに2013年には米国の国力衰退かと思わせる出来事があった。債務デフォルト危機、歳出予算の強制削減措置による連邦政府の部分的閉鎖(シャットダウン)などがあり、オバマ大統領が10月に東南アジアで開催された2つの重要な国際会議を欠席する羽目になって、東アジアにおける「米国の不在」が一時顕著となった。
 米国では景気後退期に衰退論が盛んになる。どの国も景気後退期と景気拡大期を交互に繰り返し、後退期には緊縮予算となって国防費が抑制され、軍事介入などは制約されがちだ。現在の米国がそうで、10年間で4900億ドルの国防費削減が義務付けられている。
 といっても実は米国経済は回復し失業率も低下しつつある。シェールガスの輸出が始まれば、米国は世界経済・政治で極めて有利な位置に立つであろう。輸入石油依存から解放されれば手を縛られず中東に関与できる。オバマ政権は軍事介入を嫌うが、これは米国の衰退傾向を表すものではない。